「モデルさんの肖像権について知りたい」
「仕事で肖像権について気をつけなくてはいけないのでポイントをおさえたい」
このような疑問をお持ちではないでしょうか?
弊社のモデルキャスティングの知見から、肖像権やパブリシティ権について詳しくしていきたいと思います。
そもそもこの「肖像権」といったものや「肖像財産権(=パブリシティ権)」というものはいったいどんなものなのでしょうか?
さまざまな権利を理解することでスムーズな、そして安全な制作活動につながるはずです。
今回は肖像権とその下位に位置する肖像財産権(パブリシティ権)に関する整理、そして、そこから見える“モデル肖像を利用する時に注意するポイント”についての理解を深めて頂ければ、幸いです。
目次

現在、一人一台と言えるiPhoneなどのスマートフォンですが、そういった多くの情報端末には必ずと言って良いほどカメラの機能がついています。皆さんもSNSに映り込んでしまったり、許可をしていないのに突然写真を取られてしまったりして、一度や二度は不快な思いをした経験もあろうかと思います。
実は、日常生活において不快な出来事を回避する為、本来、私達を含む全ての国民に「肖像権」があります。そして、この肖像権には二つの側面があります。

私達がキャスティングをし、皆様が起用されるモデルには、国民全が持つ①の「プライバシー権」に加え、その肖像については②の「パブリシティ権」が成り立ちます。
モデル達は専属契約をし、この肖像に関する一切の使用許諾管理を所属事務所に委託しているので、クライアントの皆様やキャスティング会社の私達であったとしても、モデル事務所に必ず“モデル肖像の使用許諾”を得なくてはなりません。

モデル(または管理の一切を依頼されているモデルエージェンシー)から得た許諾範囲を超えて肖像を使用してしまった場合、使用する主体であるスポンサー・クライアントが責任を免れる事はできません。
許諾を得ない、または許諾の範囲を超えて肖像を使用してしまうと、肖像権・パブリシティ権の侵害になります。判例上使用差止請求はもとより、実際に民法に基づき損害賠償請求や名誉回復措置請求(謝罪文書広告等)が認められてしまった事実もあり、大きなリスクを抱える事になってしまいます。
このトラブルから回避するためには、
YOU MAY Castingでは全ての案件においてこれを念頭に置き、キャスティングのご提案を行っています。

YOU MAY Castingへのご依頼でも期間を無制限にした「期間買取」のご相談をいただくことがあります。
以前、別コラム「“買取”という形態でモデルの肖像を使用する事はできるのか」にて取り扱いましたが、そこでも言及させていただいたように、まだまだこのような期間無制限の形で契約締結にいたる事はかなり稀です。
もちろん私たちも多様なニーズにお応えしたい所でもありますが、「パブリシティ権」はそもそも“当人の死亡を以て権利消滅し、権利の譲渡・相続も認められない”という法律が基本軸となっています。そのため、このような「期間買取」の要望は、肖像権に対する“無期限の契約は制作者外に一方的に有利な契約”と見なされ、効力を失ってしまう危険性があるのです。
(これはストックフォトの世界でも同様の事が言え、最長でも“5年を以てモデルリリース”としている企業が大半です。)つまり、期間買取(=期間無制限)という形で私たちやモデル事務所が了承したとしても、パブリシティ権が完全に効力を失うということはないので、矛盾が発生してしまうことになるのです。
同様に、一般の方をキャスティングするにあたり、仮に本人から無期限の使用許諾(モデルリリース)を受けたとしても、パブリシティ権の問題からその効力をなくしてしまう可能性もあります。
この問題は、肖像がデジタルで流通する昨今に始まった、新たな課題であると言えます。
使用するクライアントの皆様への警鐘やリスク回避については、WEBが主流となる今では、様々な記述を目にするようになりました。媒体が変化する中で、モデルや被写体となる人の肖像権を守ろうとしている動きもある一方、その注意喚起はまだ少なく、理解不足のまま、自己の肖像権に関してリリースのサインをしてしまう方がいることも事実です。まだあまり例を見ませんが、大きな社会問題となってしまった場合にはどのような事態に発展するのか想像しえない所もあります。
肖像権などに関する管理を万全に行いたい、という方が増えてきている事も事実ですので、今後どのような整備がされ流通が整って行くかは私達も注視する所です。
私達YOU MAY Castingは常にモデル起用される方々の安全を念頭に置き、キャスティングサービスを提供させて頂きます。ハードルの高い条件のモデル手配に関しましても、なんなりとお問い合わせください。ご連絡をおまちしております!
①プライバシー権:無断撮影されたり、それを勝手に公表されないように主張できる権利。(人格権に則した権利)
②パブリシティ権: “ファンや顧客を商品等に引き付ける顧客吸引力や訴求力”から発生する経済的な利益・価値はそのモデル本人やタレント本人のみが保有できるという権利。他者に無断利用されない権利。(財産権に則した権利)
株式会社プロモデルスタジオ代表。東京都世田谷区出身。
1999年、株式会社インテック(現:TISインテックグループ)入社後、広告・エンターテインメント業界へ転身。2010年に株式会社プロモデルスタジオを創業し、総合キャスティング事業「YOU MAY Casting」を展開。現在はモデル事務所SATORUJAPANの取締役も務める。
広告・PR・イベントにおけるタレントキャスティングを、人選・紹介に留めず、企業の目的・ターゲット・予算に応じた“成果につながる戦略設計”から、撮影・イベント当日の進行まで一貫して支援。現在は毎月約50社の新規相談を受け付け、既存案件を含めると月間100件超のキャスティング案件を監督。多数案件から得られる実務データをもとに、相場感・成功パターン・リスク管理のナレッジ化を推進している。
AIやデータ活用が進む時代においても、「人の感情」や「文脈」を重視し、成果と納得感の両立を大切にしている。日本モデルエージェンシー協会 会員。